からだの使い方

からだの使い方は、どのように身につけましたか?

 

歩く時の重心移動、 跳ぶ時の手の振り、

着地の時のひざの曲げ、 引っ張る時の姿勢・・・・

 

子どもの頃、遊びの中で様々な動きたくさん経験している間に
自然と効率の良いからだの使い方を身につけてきました。

 

何度も転んでは、立ち上がって、何度も転んで歩き出す
赤ちゃんの姿を思い浮かべれば分かりやすいでしょうか?

 

私は、昔、子ども達に効率の良い動きを教えようとして失敗したことがあります。

綱引きの手の持ち方は、こうだよ!!
ボールの投げ方は、こうだよ!!

と一生懸命に教えていました。
しかし、なかなか子ども達は良くならない。
できたのはその教えた時の少しの間だけ・・・

そして、ある子ども達の変化に気づきました。
遊びを何度も繰り返して遊ぶ中で教えなくても自然と効率の良い体の使い方になっていきます

例えば・・・
●綱引きを目的とした遊びをして遊ぶ中で、強く引っ張らないといけない状況を作った時
子ども達は、自然と手を持ち替えて、しかも自然と腰を落とすように引っ張り始めました。

また・・・
●子ども達の跳べるちょうどの距離を使うことで、子どもは、体を大きく使い、手の振りをうまく使うようになっていました。

そして・・・
たくさん強く投げる遊びをたくさんしていくと自然とフォームが良くなってっきました。

投げる動作の発達が目に見えてきます。

投げる動作の発達 *文部科学省:基本動作の調査より

 

好きこそ物の上手なれ

 

いくら分かりやすい説明を聞き行った動作よりも何度も繰り返す事で自然と身につく動作では、身につき方が全く変わってきます。

好きなものは、いくらでも時間を割く。そのため、どんどん上達する。
しかし、嫌いなものは、あまり時間を使わないため、上達しない。

 

全ては、その子の取り巻く環境がそうさせます。

運動自体を好きになり、時間を忘れて積極的にからだを動かすようになる環境づくり

それが、私たちの仕事です。

子どもの集中力は短い?

子どもが集中できる時間はどれくらいでしょうか?

10分?

20分?

30分?

50分?

こんな事を体育指導の現場で聞いたり、本の中でみたりします。

子どもは、集中できる時間が短い!!

 

はたしてそうでしょうか?

アニメのビデオを見てるとき・・・・
ゲームをやっているとき・・・・
草滑りをやっているとき・・・・

飽きずにずっと続けています。

 

私は、子ども達の集中について内容次第で何分でも何時間でも続くと考えます。

運動スクールが終わって、子ども達が、『もう終わり?』『まだやりたい!!』と声が上がることがよくあります。
運動のプログラムが、運動スクールの中だけで終わらないよう子ども達の自由な時間、担任や指導員、子ども達同士が、空いた時間にいつでもできるように心がけています。

テレビやビデオ、ゲームのように何十分、何時間でも集中して楽しめる運動あそびの力を多くの子ども達に伝えていけたらと思います

 

できない・・・

できない・・・という子どもがいます。

その子をよく見ていると自尊心が低く、やる前から諦めている。
また、一度の失敗でくじけてしまう。

普段から褒められたり、認めてもらう経験が少ない。
遅寝遅起きや朝ごはんを食べないことから起こる活動するための健全な心とからだが整っていない。
いつも受身で行動している。

など原因は様々なところに・・・

しかし、何かのきっかけで大きく変わる。

活動の中で運動ではない部分(工夫)でも褒められた時。
やってみるとできた時。
友達と一緒にやってみてできた時。

成功体験や褒められることで、自信をもって物事に取り組んでいきます。
また、失敗しても次挑戦する姿勢を大切にする事を学んでいきます。

子どもの自尊心を大事にします。

運動ではない部分でも子どもをフォーカスして褒めます。
運動のスモールステップで動きの要素を遊びから身につけさせ、成功できる状態をつくります。
子ども主体で様々な工夫や選択をできるようにします。

自ら進んで何事も挑戦し、失敗したことも次の挑戦に活かせる子ども達になって欲しいと思います。

知識でなく知恵を身につけたい

最近の若者は、知識はあるんだけど、気づく力や考える力がないな・・・

なんて聴いたり感じたことはありますか?

最近の子ども達も同じように感じることがあります。

遊びは、何度もしているうちに勝てる方法を考えたり、工夫していきます。

今日はそんな活動としてお助けマン鬼ごっこをしました。

相手チームとジャンケンをし負けたら座っていきます。全員やぶれると負けです。
しかし、一人だけ負けた仲間を復活できるお助けマンを作ります。
ゲームのキーパーソンであるお助けマンをどうするかが作戦へとつながっていくゲームです。
1回戦目は、何も考えずただ勝ちに行く様子が見て取れます。
2回戦目になると勝つ工夫をしている子が何人か出てくるようになりました。

このようにゲームのキーポイントに気づく事が勝つことにつながり、相手との駆け引きが生まれるレベルを上がっていきます。

まだまだゲームを繰り返すことで、自分で考えながら、仲間や相手を見ながら気づき、ゲームのポイントを見つけだしていきます。

歩んでいく人生においてもよく観察し、気づき、考え、工夫できる人間になってもらいたいと願います。

知識でなく知恵を!!  それが生きる力です。

 

脳科学からの遊びの大切さ

先日、脳科学者の茂木健一郎氏の「脳とイノベーション」のセミナーに参加しました。

イノベーションを起こす要因として様々な説明がある中で、人は遊び感覚で物事に取り組む事が重要だと話されていました。

遊び感覚とは、みなさんも経験あるでしょう。

昔、子どもの頃遊んでいるとあっという間に日が暮れてしまった時の状態と同じような感覚です。

それは、理論的にいえば・・・

チクセントミハイの『フロー状態』や脳科学の『偶有性」からの説明で

・「自分が知っていることと知らないことが混ざり合う状態」
・「予想できることとできないことが混ざり合っている状態」
・「慣れ親しんでいて安心できることと新しく不安であることが混在している状態」

というような状態に身を置くことが脳に非常に良いとの事でした。
そのような状態で何事も取り組んでいる人に偉大な人が多いとのことです。

脳が急速に発達する子ども達にとって遊ぶ事がいかに重要であるかを新しい視点から学ぶと共に、遊びを仕事とする私にとって私の仕事が重要な使命だと再認識しました。